刑法(強盗予備罪)

強盗予備罪(2) ~「凶器をもって徘徊する行為は強盗予備罪である」「強盗予備罪の故意」を判例で解説~

凶器をもって徘徊する行為は強盗予備罪となる

 強盗予備罪(刑法237条)は、強盗の犯行実現の可能性の程度があることをもって成立が認められます。

 たとえば、凶器を準備して徘徊する行為をもって強盗予備罪は成立します。

 参考となる判例として、以下のものがあります。

最高裁判決(昭和24年12月24日)

 この判例で、裁判官は、

  • 他人を脅迫して金品を強奪しようと共謀し、これに使用するため、出刃包丁、刺身包丁、ジャックナイフ及び懐中電燈を買求め、これを携えて姫路城桜門付近を俳徊したというのであって、強盗予備罪の構成事実として何ら欠くるところはない

と判示しました。

最高裁判決(昭和24年9月29日)

 この判例で、裁判官は、

  • 強盗の予備罪は、他人と共謀の上、強盗の目的をもって凶器を携えて目的地に向け出発するをもって、その犯罪はすでに成立するものであって、現実に目的地に到達し、又は到達後、更に押し入って強盗を働く機会をうかがうごとき行為をなすの要あるものではない

と判示しました。

強盗予備罪の故意

 強盗予備罪は故意犯です。

 なので、強盗予備罪の成立を認めるには、故意が必要になります(故意の詳しい説明は前の記事参照)。

 強盗予備罪の故意があるとは、

強盗の目的をもって、強盗の実行の着手の準備行為をするについて、表象・認識があること

と定義されます。

 強盗罪は、故意として不法領得の意思が必要となるところ、強盗を目的とする強盗予備罪についても、その成立を認めるにあたり、不法領得の意思が必要となります。

 予備のみでそれ以上強盗にいたる意思がない場合には、予備行為についての故意が存在していても、強盗の目的を有しないから強盗予備罪は成立しません。

 強盗予備罪の目的とする強盗が1個である限り、それを実行する意思が継続していれば、強盗予備の故意も1個として評価されます。

次の記事

昏酔強盗罪、事後強盗罪、強盗予備罪の記事まとめ一覧

 昏酔強盗罪、事後強盗罪、強盗予備罪の記事まとめ一覧