刑事訴訟法(公判)

公判前整理手続とは?② ~「公判前整理手続の始まり方、方法、出席者」「公判前整理手続は、被告人に弁護人が付いていなければ行うことができない(必要的弁護)」を説明

 前回の記事の続きです。

 前回の記事では、

  • 公判前整理手続の流れ
  • 予断排除の原則、公開主義(裁判公開の原則)との関係

を説明しました。

 今回の記事では、

  • 公判前整理手続の始まり方、方法、出席者
  • 公判前整理手続は、被告人に弁護人が付いていなければ行うことができない(必要的弁護)

を説明します。

公判前整理手続の始まり方

 裁判所は、充実した公判の審理を継続的、計画的かつ迅速に行うため必要があると認めるときは、

  • 検察官と被告人若しくは弁護人の請求

又は

  • 裁判所の職権

により、第1回目の公判の前に、裁判所の決定で、事件を公判前整理手続に付することができます(刑訴法316条の2第1項)。

 裁判所が、

  • 事件を公判前整理手続に付す決定

又は

  • 事件を公判前整理手続に付することの検察官と被告人・弁護人からの請求を棄却する決定

をするに当たっては、裁判所は、検察官、被告人・弁護人の意見を聴かなければならなりません(刑訴法316条の2第2項刑訴法規則217条の3)。

裁判所の公判前整理手続に付す決定、又は付さない決定に対し、不服を申し立てることはできない

 裁判所の公判前整理手続に付す決定、又は付さない決定に対し、検察官、被告人・弁護人は、不服を申し立てること(抗告すること)はできません。

 根拠法令は、刑訴法420条1項にであり、「裁判所の管轄又は訴訟手続に関し判決前にした決定に対しては、この法律に特に即時抗告をすることができる旨の規定がある場合を除いては、抗告をすることはできない」と規定されます。

 公判前整理手続に付す決定、又は付さない決定は、「訴訟手続に関し判決前にした決定」に該当し、即時抗告をすることができる旨の規定は設けられていないため、検察官、被告人・弁護人は、抗告をすることはできないという考え方になります。

公判前整理手続の方法

 公判前整理手続は、検察官、弁護人を裁判所に出頭させて陳述させ、又は検察官、被告人・弁護人に書面を裁判所に提出させる方法により行います(刑訴法316条の2第3項)。

公判前整理手続の出席者

 公判前整理手続を開くには、検察官と弁護人が裁判所に出頭することが必要であり、いずれかが出頭しないときは、公判前整理手続を行うことができません(刑訴法316の7)。

 被告人は、公判前整理手続に出頭の権利を有しますが、被告人の出頭は必要的ではありません(刑訴法316の9第1項)。

 被告人は、公判前整理手続に参加しなくても問題はありません。

 また、裁判所は、必要と認めるときは、被告人に対し、公判前整理手続への出頭を求めることができます(刑訴法316の9第2項)。

公判前整理手続は、被告人に弁護人が付いていなければ行うことができない(必要的弁護)

 公判前整理手続は、被告人に弁護人がなければを行うことができません。

 これは、公判前整理手続に付される事件は、殺人罪などの裁判員裁判になるような重大な事件や、複雑な事件であることが多いため、十分な争点や証拠の整理を行う必要があり、それを実現するためには、被告人に法律の専門家である弁護人が付いていることが不可欠だからです。

 被告人に弁護人が付いていない場合、裁判長は、職権で被告人に弁護人を付さなければなりません(刑訴法316条の4)。

次回の記事に続く

 次回の記事では、

  • 公判前整理手続で話し合われる事項
  • 公判前整理手続中の被告人への意思確認のための質問

を説明します。

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