法律(刑法)

構成要件とは?~「基本的構成要件」と「修正された構成要件」~

 構成要件とは、

刑法などの法律に規定されている犯罪の成立要件

をいいます。

 たとえば、窃盗罪(刑法235条)の条文は、

他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する』

と記載されていますが、この条文に記載されている他人の財物を窃取したの部分が、構成要件になります。

 構成要件が、刑法など刑事事件の法律で、どのような位置づけにあるかは、前の記事で書きました。

 今回は、さらに構成要件について深掘りして書きます。

構成要件の捉え方

 構成要件は、

  • 「基本的構成要件」と「修正された構成要件」
  • 「閉ざされた構成要件」と「開かれた構成要件」
  • 「消極的構成要件」と「積極的構成要件」

にカテゴリー分けし、特徴を比較しながら考えることができます。

「基本的構成要件」と「修正された構成要件」

基本的構成要件

 「基本的構成要件」とは、窃盗罪の条文に記載される『他人の財物を窃取した』というような、条文で内容が明確に記載されており、条文をそのまま読めば内容が理解できる構成要件をいいます。

修正された構成要件

 これに対し、「修正された構成要件」とは、『他人の財物を窃取した』(窃盗罪)というような基本的構成要件を前提とし、これに修正を加えて設けた構成要件をいいます。

 たとえば、『他人の財物を窃取した』に当てはまる行為をすると窃盗罪になりますが、刑法243条に『未遂は、罰する』という未遂規定あります。

 この未遂規定を取り入れて、窃盗罪の基本的構成要件を修正すると、窃盗未遂罪の構成要件ができ上がります。

 具体的には、『~窃取しようとしたが、その目的を遂げなかった』という感じの構成要件になります。

 これが「修正された構成要件」です。

「閉ざされた構成要件」と「開かれた構成要件」

閉ざされた構成要件

 閉ざされた構成要件とは、法律の条文に記載された構成要件にあいまいさがなく、裁判官、検察官、弁護士などの法律家の解釈による補充を必要としない構成要件をいいます。

 たとえば、『他人の財物を窃取した』は、「閉ざされた構成要件」です。

 裁判官らは、「他人の財物を窃取したのか?それとも窃取しなかったのか?」をイエスかノーの2択で判断すればよく、事実の認定に解釈は必要ありません。

 「閉ざされた構成要件」は、条文が完成(完結)されており、解釈を加えなくても分かる条文の書き方になっている構成要件です。

 このため、「閉ざされた構成要件」は、「完結された構成要件」ともいいます。 

 ちなみに、法律で規定するほどんどの条文が、「閉ざされた構成要件」の内容になっています。

開かれた構成要件

 これに対し、「開かれた構成要件」とは、犯罪を認定するに当たって、裁判官らの解釈による補充を必要とする構成要件をいいます。

 裁判官らの解釈による補充を加えることで、はじめて構成要件が特定できるというものです。

 たとえば、刑法210条「過失致死」は、『過失により人を死亡させた者は、50万円以下の罰金に処する。』と規定しています。

 この条文だけでは、「過失ってなんやねん?」という疑問が生じ、犯罪事実が特定できません。

 そこで、裁判官らが「過失」の内容を解釈による補充を加えて特定するのです。

 たとえば、『公園で野球のバッドを素振りしていたら、近くにいた子供の頭をバットで殴てしまい、死なせた』というように、裁判官らが過失の内容を補充し、犯罪事実を特定するのです。

「消極的構成要件」と「積極的構成要件」

消極的構成要件

 「消極的構成要件」とは、犯罪の成立を否定する構成要件をいいます。

 刑法109条の非現住建造物等放火罪(人が住んでいない建物を放火する犯罪)の条文を使って説明します。

刑法109条(非現住建造物等放火)

第1項 放火して、現に人が住居に使用せず、かつ、現に人がいない建造物、艦船又は鉱坑を焼損した者は、2年以上の有期懲役に処する。

第2項 前項の物が自己の所有に係るときは、6月以上7年以下の懲役に処する。ただし、公共の危険を生じなかったときは、罰しない

 この条文の『公共の危険を生じなかったときは、罰しない』とある部分が「消極的構成要件」に当たります。

積極的構成要件

 これに対し、「積極的構成要件」とは、犯罪の成立要件を定めた構成要件をいいます。

 「消極的構成要件」ではない部分(犯罪の成立を規定する部分)と考えればOKです。

まとめ

 構成要件は、

  • 「基本的構成要件」と「修正された構成要件(たとえば未遂)」
  • 「閉ざされた構成要件」と「開かれた構成要件(解釈必要)」
  • 「消極的構成要件(犯罪の成立を否定)」と「積極的構成要件」

にカテゴリー分けして考えることができます。

 構成要件の特徴を言葉を使って整理すると、上記のように分類できるというものです。

 人は、物事や事象に言葉を当てはめて名前をつけることで、その物事や事象に対応できるようになります。

 専門性的な内容でしたが、言葉を使って整理することは有益なので書きました。