脳細胞を増やす方法 ~ニューロンは運動で増え、ストレスで死ぬ~

 近年の研究では、脳細胞は、運動により増えることが分かっています。

脳細胞は増える

 私が子供の頃(20年くらい前)は、脳細胞は増えない、というのが通説でした。

 学校の先生や親から、「脳細胞は大人になると増えなくなる。だから、子どものうちにしっかり勉強しなさい。」というようなことを言われたような気がします。

 しかし、近年では、顕微鏡で、脳細胞が増えることが確認されており、大人になっても、脳細胞は増えることが分かっています。

 脳細胞が増えるとは、

  • ニューロンが新しく生まれ
  • ニューロンの樹状突起(信号を次のニューロンに伝達する枝)が増え
  • ニューロンとニューロンの結びつきを強くする髄鞘(ずいしょう)が厚くなり、効率的に信号を送れるようになる

ことを意味します。

 ニューロンとは、情報を伝達するための神経細胞のことです(成人の脳に、100億から1000億個あるとされます)。

 より多くのニューロンが脳内に存在し、ニューロンどうしの結びつきが強くて多様であり、ニューロンどうしの信号の伝達速度が早い人ほど、頭が良くなります。

脳細胞が増えることを証明した研究事例1

 がん治療のため、がん病巣の広がり具合を調べる目的で、増殖細胞を発見する色素を体内に注入した患者の脳を調べたところ、脳の海馬(記憶をつかさどる脳細胞)が色素で染まっていました。

 このことから、体のほかの細胞と同じように、海馬のニューロンが新しく生まれる(分裂して増殖する)ことが明らかになりました。

脳細胞が増えることを証明した研究事例2

 マウス用のプールにマウスの逃げ道となる足場を置き、マウスが足場の位置をどれだけ正確に覚えているかを調べました。

 マウスは、

① おとなしくさせていたマウスのグループ

② 毎晩、回し車で4~5km走らせたマウスのグループ

を用意しました。

 結果、②の運動しているマウスは、足場の位置を早く思い出し、足場に直行しました。

 それに対し、①の運動していないマウスは、もがいた末にやっとのことで足場を見つけ出しました。

 マウスを解剖して脳を見ると、②の運動しているマウスの脳の海馬にあった新しい幹細胞(分裂して増殖できる細胞)は、①の運動していないマウスの2倍あったことが確認されました。

脳細胞は運動で増える

 脳細胞は増えることは分かりましたが、どのようにすれば脳細胞を増やすことができるのでしょうか?

 それは、上記のマウスの実験からも分かるとおり、「運動」です。

 近年の研究では、運動することで、脳細胞を増やせることが分かっています。

 運動をすると、ニューロンが分裂して増殖し、ニューロンの枝(樹状突起)が生長することで、脳細胞が増えるというわけです。

 気をつけるべきは、ただ運動するだけでは、新しく生まれたニューロンは死ぬということです。

 運動して、ニューロンを増やしたところで、学習を行う必要があるのです。

 新しく生まれたニューロンは、学習刺激を受けることで、死なずに生き残ることができます。

 つまり、脳細胞を増やすには、

『運動してニューロンを増やす➡増えたニューロンに学習刺激を与えて生き残らせる』

ことをやる必要があるのです。

 よって、たとえば勉強で成績を上げたければ、『運動する➡勉強する➡運動する➡勉強する』のサイクルを繰り返すことが有効になるのです。

脳細胞を増やす有効な運動

 脳細胞を増やすには、有酸素運動が有効とされます。

 日本が行った研究では、30分のジョギングを週に2~3回、それを12週間続けると、脳の遂行機能(目的達成のための一連の行為を手際よく行う能力)が向上することが確認されています。

 『ジョギング(有酸素運動)を行う➡ニューロンの増殖、ニューロンどうしの繋がりの強化・信号伝達速度の向上➡遂行能力の向上』という効果です。

 また、有酸素運動のほかに、複雑な動きをする運動(たとえば、バスケットボールなどの球技、体操競技など)も有効とされます。

 これを裏付ける実験として、

① ただ走らせただけのラット

② 不安定な障害物・はしごを歩くといった複雑な運動をさせたラット

とでは、複雑な運動をさせたラットの脳で、BDNF(脳由来神経栄養因子:脳細胞を増やすのに必要となる物質)が35%増加していたことが確認された実験があります。

脳細胞はストレスで死ぬ

 運動で脳細胞が増えるのに対し、強いストレスを受けると、脳細胞が死ぬことが分かっています。

 強いストレスにより、脳の何十億というニューロンの結合がむしばまれます。

 ニューロンどうしの結合が壊れ、脳が萎縮し、多面的な思考ができなくなります。

 くせになっているマイナス思考のニューロンの道だけが残り、何度も何度もマイナス思考をループすることになります。

 それを防ぐため、強いストレスを受けているときこそ、体を動かして運動をし、心臓から脳に血液を送り込んで、脳を育てる必要があります。

 強いストレスを感じているときは、じっとしていてはいけません。

 運動をして、脳細胞を増やし、くせになっているマイナス思考のニューロンの道を消して、新たなニューロンの道を開拓しなければならないのです。

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