人間関係維持志向とは?
人間関係維持志向とは、
問題解決はさておき、お互いの人間関係を良好に維持すること重要視する価値観
をいいます。
人間関係維持志向は、男性よりも、女性に重視している人が多い価値観です。
人間関係維持志向は、
互いに共感し合って、
気持ちを分かり合い、
精神的に支え合うことで満たされ、
心の安定を獲得する
こともって目的達成となります。
問題は解決していなくてもよいのです。
これは、男性にはあまり理解できない価値観です。
たいていの男性は、「問題が解決しなきゃ意味ないじゃん」と考え、問題解決・改善・問題の再発防止のためのアクションプランをたたきつけなければ気が済みません。
しかし、人間関係維持志向の人は、共感による心の満足を求めているのであり、問題解決に重きを置いていないので、アクションプランをたたきつけられた日には、「それを求めてるんじゃねーんだよ」といった感じで気分を害します。
問題解決志向とは?
問題解決思考とは、
人間関係はさておき、問題を解決することを重要視する価値観
をいいます。
問題解決志向は、多くの男性が重視している価値観です。
問題解決志向の人は、人間関係維持志向の人とは異なり、相手に気持ちにさほど関心を示さず、「問題を解決するためにはどうしたらよいか」にフォーカスします。
そして、問題の解決策を打ち出せたり、問題を解決したときに、「有益性を発揮できた」「役立つことができた」という充実感に満たされ、目的達成を感じます。
このとき、人間関係における共感、心の安定などは、手当てする範囲に含まれません。
人間関係維持思考と問題解決思考とで、どちらが良いということはない
人間関係維持思考と「問題解決思考とで、どちらが良くて、どちらが優れているということはりません。
状況に応じて、どちらも有益であり、必要になります。
人間関係維持志向が必要な場面
人間関係維持志向は、良好で親密な人間関係を作ることが有益な場面において、必須の価値観になります。
家族、友人、職場の人間関係など、集団生活を良好・親密でトラブルなく、お互いに心地良く過ごせるようにするためには、人間関係維持志向こそが必要になります。
問題解決志向の人が打ち出す温かさのないコミュニケーションやアクションプランは、良好で親密な人間関係を構築する妨げになります。
相手の気持ちを考慮しない問題解決志向は、たとえその意見に正当性があったとしもて、相手の心には届きません。
良好で親密な人間関係を作る場面では、合理的な言葉や行動しかできない問題解決志向ではなく、不合理だが相手の気持ちに共感し、相手の気持ちを明るくする人間関係維持志向が有効になるのです。
問題解決志向が必要な場面
問題解決志向は、話し合って解決しなければならない問題に直面した場面で必須の価値観になります。
特にビジネスでは、問題解決志向が欠かせません。
他人の問題を解決して、それをマネタイズするのがビジネスなので、問題解決志向に特化することが必要になります。
多くの男性はビジネスライクなので、男性に問題解決志向が多くなるのは必然かもしれません。
ビジネスのほか、家庭や友人関係でも、話し合って解決しなければならない場面はあります(夫婦関係のトラブル、子どもの教育、いじめ対応など)。
その場合は、人間関係維持志向ではなく、問題解決志向で臨む必要があります。
人間関係維持志向と問題解決志向のNG対応
人間関係維持志向と問題解決志向を、状況に応じて、適切に使い分けることができなければ、良好なコミュニケーションができず、良い人間関係が築けません。
問題解決志向しかできない人のNG対応
たとえば、妻が、夫に対し、
「今日は少し体調が悪いんだ。」
と話してきたときに、夫が第一声から
「じゃあ、薬飲んだら?」
と提案するのはNGです。
夫からこのような返しをされたら、妻は不機嫌になるでしょう。
このような場面では、人間関係維持志向の価値観を使って、
「大丈夫?少し休む?」
といった感じで、相手の気持ちに寄り添う言動をするのが正解になります。
妻は、夫から気遣いや思いやりの言葉をもらい、体調が悪いことに共感してほしいのです。
のっけから「薬飲んだら?」という問題解決志向の対応は求めていないのです。
人間関係維持志向に欠ける人は、この感覚を理解しておく必要があります。
人間関係維持志向しかできない人のNG対応
たとえば、仕事で新入社員がミスをしてクレームになったときに、先輩社員が、人間関係維持志向を発揮して、
「ミスをすることもあるよ。気を落とさずに次は頑張ろう」
と言って、特に何をすることなく終わらせた日には、上司は、
「頑張ろうじゃない。すぐにクレーム対応の段取りを考えて収拾をつけろ。その上で原因を明らかして、再発防止策を打ち出せ。」
と問題解決志向の対応を求めるでしょう。
問題解決志向が求められる場面で、人間関係維持志向の対応をしてしまうのはNGです。
自己分化
人は、
感情的な機能
知性的な機能
の両方の機能を持っています。
感情的な機能と知性的な機能の両方の機能を持っていることを
自己分化
といいます。
感情的な機能に偏ってしまうと、人間関係維持志向が過ぎてしまい、問題解決が必要な場面で、有効打を打てません。
逆に、理性的な機能に偏ってしまうと、問題解決志向が過ぎてしまい、相手の気持ちに寄り添うべき場面で寄り添えなくなり、良好な人間関係を作れなくなります。
人は、感情的な機能と、知性的な機能をバランスよく使う必要があるのです。
感情と知性の両方をうまく使うことができることを
自己分化度が高い
と表現します。
逆に、感情と知性の両方をうまく使うことができないことを
自己分化度が低い
と表現します。
感情と知性の両方うまく使いこなせる
自己分化が高い人
を目指し、状況に応じて、適切に、人間関係維持志向と問題解決志向を使い分ける器用さが必要です。
まとめ
多くの人は、人間関係維持志向と問題解決志向のどちらかに偏っています。
人間関係維持志向を発揮すべきときに、問題解決志向しかできない…
問題解決志向を発揮すべきときに、人間関係維持志向しかできない…
というふうに、選択肢が一択しかない、頭の固い対応しかできないのは問題です。
状況に応じて、人間関係維持志向と問題解決志向を使い分けることができる頭の回転の良さが必要です。