フロー状態とは?
人間はときに、長時間にわたって、苦もなく集中したり、すさまじい努力を続けることができます。
この状態を、フロー状態といいます。
このように苦もなく集中を続けられる状態について研究した第一人者は、心理学者のミハイ・チクセントミハイです。
チクセントミハイは、この状態を「フロー」と名づけました。
フロー状態は、熟達しているやりがいのある何かを達成しようとする自発的な努力によって、心や体が限界まで引き延ばされたときに起こるとされます。
努力を向ける対象が熟達しているものであればあるほど、フロー状態に素早く、そして深く入り込むことができます。
逆に言うと、努力を向ける対象が熟達しているものでない場合は、フロー状態に入りにくいということになります。
ただし、努力を重ねるごとに、熟達度が上がっていくので、努力の継続次第で、フロー状態への入りやすさは高まっていきます。
フロー状態の例
フロー状態の分かりやすい例が、ゲームやSNSなどのスマホアプリにハマっている状態です。
夜にゲームやスマホアプリをやりだすと、1~2時間はあっという間に吹き飛びます。
これは、フロー状態に入ることで、目の前のタスクに極度に集中し、自分自身のことも、気になっていた問題も、すべて忘れた状態になるからです。
フロー状態が解けて、我に返ったときには、すでに時間が消し飛んでいます。
フロー状態は、人生で幸福な瞬間である
チクセントミハイは、フロー状態を ‶ 喜びに満ちた状態 ″ と語り、「最適経験」と呼びました。
フロー状態に入ると、脳内からドーパミンという快楽物質が分泌されます。
ドーパミンは、覚せい剤を使用したときに脳内から分泌されることからも想像できるとおり、人に依存性のある強い快感と高揚感を与える脳内物質です。
フロー状態は、脳内からドーパミンが分泌されいる状態なので、人は幸せ(快感)を感じるのです。
フロー状態にたくさん入れる人は、喜びに満ちた人生を送っているといえます。
フロー状態に入ると、能力が最大限発揮される
フロー状態に入ると、目の前のタスクに完全にのめり込むので、注意力と集中力を維持するためのセルフコントロール業務が必要なくなります。
そのため、セルフコントロール業務から解放された分のリソースを、目の前のタスクだけに振り向けることができます。
つまり、余計な思考を一切カットした、100%目の前のタスクに集中した状態になり、圧倒的な力を発揮できます。
「黒子のバスケ」という漫画で、キャラクターがゾーン(フロー状態)に入ると、雑念や周囲の雑音がカットされ、圧倒的な力を発揮する描写がありますが、この描写は現実にあることなのです。