法律(刑法)

詐欺罪(59) ~財産上の損害①「詐欺罪が成立するには、被害者に何らかの財産上の損害が生じたことが必要」を判例で解説~

詐欺罪が成立するには、被害者に何らかの財産上の損害が生じたことが必要

 詐欺罪(刑法246条)の成立を決するに当たり、被害者の財産上の損害の発生を必要とするかどうか議論されます。

 結論として、通説は、詐欺罪の既遂が成立するためには、

被害者に何らかの財産上の損害が生じたことが必要

とされます。

判例の状況

 判例上、財産上の損害がないことから詐欺罪にならないといって争われた事例の最も多い型は、詐欺犯人が被害者から交付を受けた財物について、詐欺犯人が財物の価格相当またはそれ以上の対価を提供している場合です。

 この種の判例を紹介します。

詐欺犯人が財物の価格相当またはそれ以上の対価を提供している場合でも詐欺罪が成立するとした判例

 以下の判例で、

  • 人を欺く手段を講じて相手方を錯誤に陥れ財物を詐取すれば、犯人がその財物の価値に相当か、それ以上の対価を提供したために、欺かれた者に計算上何らの損害も生せず、あるいは、かえって利得があったとしても、詐欺罪の成立に影響はない

としました。

大審院判決(大正2年11月25日)

 この判例で、裁判官は、

  • 犯人にして、真正の事実を告知せんか、相手方は財物を交付せざるべき場合において、真実に反せる事実を告知し、相手方を錯誤に陥れ、よって財物を交付せしめたる以上は、詐欺罪は直ちに成立すべく、その財物交付の対価として取得したる財産上の利益が、交付したる財物の価格以上に出て、相手方において現実に損害を受ざりし場合ありとするも、これがために詐欺罪の成立を妨ぐべきにあらず

と判示し、詐欺犯人が、被害者に財物交付の対価として与えた財産上の利益が、被害者が詐欺犯人に交付した財物の価格を上回る場合でも、詐欺罪は成立するとしました。

最高裁決定(昭和34年9月28日)

 この判例で、裁判官は、

  • たとえ相当価格の商品を提供したとしても、事実を告知するときは相手方が金員を交付しないような場合において、ことさら商品の効能などにつき真実に反する誇大な事実を告知して相手方を誤信させ、金員の交付を受けた場合は、詐欺罪が成立する
  • そして本件の各ドル・バイブレーター(電気マッサージ器)が所論のようにD型で、その小売価格が2100円であったとしても、原判決の是認した第一審判決が確定した事実によると、被告人は判示Aほか16名に対し、判示のごとき虚構の事実を申し向けて誤信させ、同人らから右各ドル・バイブレークーの売買、保証金などの名義のもとに判示各現金の交付を受けたというのであるから、被告人の本件各所為が詐欺罪を構成するとした原判示は正当に帰する

と判示しました。

大審院判決(大正11年4月22日)

 この判例で、裁判官は、

  • 犯人にして、真実を告げんが相手方が財物を交付せざるべき場合において、真実に反する事実を告げ、相手方を欺罔し、よって財物を交付せしめたる以上は、不法に他人の財産権を侵害したるものにほかならざれば、対価として相手方に財産の利益を与えたかどうか、その利益が相手方の損失をつぐないうるかどうかを問わず、詐欺罪が成立する

旨判示しました。

大審院判決(昭和17年4月7日)

 この判例で、裁判官は、

  • 被告人において、たとえK商店らに対し、代金支払の意思をもって、銑鉄買受の申込をなし、その代金を支払いたりとするも、割当証明書が偽造なることを秘し、真正に成立したる如く装い、これを行使して、同人らを錯誤に陥らしめ、銑鉄を買受け、これを取得したる以上、K商店らが銑鉄を売渡たること自体、既に損害なりと解するを相当とす

と判示し、詐欺罪の成立には、財産上の損害を必要としながら、財物の交付自体が損害であるとする趣旨を示しました。

大審院判決(大正12年11月21日)

 この判例で、裁判官は、

  • 既に人を欺罔して、財産を騙取したる以上は、これに財産権侵害の事実あること明白にして、更にこのほかの計算関係において、損害の存することを要するものに非ず

と判示し、財物の交付自体を損害と見る趣旨を明らかにしました。

大審院判決(昭和8年6月8日)

 有利に転売しうる旨欺いて、不動作(山林)を買い受けさせ、代金名下に金員を交付させた場合は、財産上の損害は金員を支払うことにより発生し、その金額と不動産の価格との差額により財産上の損害の有無を判断すべきでないとしました。

 裁判官は、

  • 本罪の一般的観念に属する財産上の損害は、判示金額(4000円)の支払そのものにおいて実現するものにして、その金額と判示山林の価格(3300円)との差引勘定によりて財産上損害の有無を判断すべきものにあらず
  • 従って、本件の場合については、判示山林売買契約が、法律上、有効なりや否、またその売買価格が相当なりや否の問題の如きは、本罪の成否に消長を及ぼす事項にあらざる

と判示し、被害額4000円と認定して詐欺罪の成立を認めました。

最高裁判決(昭和23年6月9日)

 偽造の特配指令書を真正なもののように装って、係員を欺き、真正な特配指令書を提出しなければ買い受けることができない日本酒などを買い受けた場合は、公定価格を支払ったとしても、詐欺罪が成立するとしました。

 裁判官は、

  • 代金を支払ったとしても、真正な指令書を持っておるものでなければ買い受けることのできないものであるにかかわらず、偽造の指令書を真正な指令書と偽り係員を誤信せしめて日本酒と麦酒とを買い取ったのであるから、詐欺罪の成立を妨げるものはない

と判示し、公定価格を支払ったとしても、詐欺罪は成立するとしました。

最高裁判決(昭和26年3月16日)

 この判例で、裁判官は、

  • 主要食糧(政府が流通を管理する食料)を不正に受配した場合は、その公定価格を支払っても、詐欺罪が成立する

旨判示しました。

被害者を欺いて財物を交付させた以上、相当対価を支払ったとしても、詐欺罪の成立を妨げないとした判例

最高裁判決(昭和25年2月2日)

 この判例で、裁判官は、

  • たとい、被告人が配給物資の代金を支払ったとしても、Aの依頼がなければ被告人において配給を受けることのできない米麦その他の配給物資を、前示のように同人の依頼がすでになくなっているのに拘らず、なお依頼を受げているように装って配給所員を欺罔してこれが配給を受けたものであるから、被告人の所為は詐欺罪の成立をさまたげるものではない

と判示し、被告人が代金を払っていて、被害者を欺罔して財物を交付している以上、詐欺罪が成立するとしました。

大審院判決(昭和14年8月21日)

 この判例で、裁判官は、

  • 偽造の書画を真物とだまして代金を詐取したときは、その偽造の書画が事実上売買取引の目的となり相当価格を有したとしても詐欺罪の成立を妨げないから、その価格を判示する必要はない

としました。

大審院判決(昭和7年5月23日)

 この判例で、裁判官は、

  • 焼酎のアルコール含有量に関するぺーパーを貼り替え、実際より高度のアルコールを含有するように見せかけて顧客を欺き、代金を取得した場合、その売価が実際の含有量に相当する価格であっても詐欺罪は成立する

としました。

大審院判決(昭和8年2月15日)

 この判例で、裁判官は、

  • K株式会社が商標権を有する「タカヂアスターゼ」錠でなければ買い入れない場合において、偽造の登録商標を貼付した偽物を真正なものとして相手方を欺き、代金を交付させたときは、たとえ偽物が真正の薬品と効用に差異のないときでも、詐欺罪は成立する

としました。

大審院判決(昭和11年5月4日)

 この判例で、裁判官は、

  • 無尽講会員が、落札金を受け取るため担保を提供する場合、他人所有の良田を担保地と偽って指示し、講元を錯誤に陥れ、落札金を交付させたときは、物的担保以外に相当な資力のある保証人を立ててあるときでも詐欺罪は成立する

としました。

大審院判決(昭和12年6月17日)

 この判例で、裁判官は、

  • 某別邸にある庭石石燈籠入札売却するに際し、他から搬入した庭石と石燈籠を、あたかも従前から庭園内に存在していたように虚構して買受人を欺き、売買名下金員の交付を受けた場合は、その物件を相当価格で売却したかどうかにかかわりなく、詐欺罪が成立する

としました。

最高裁決定(平成16年7月7日)

 根抵当権の設定された不動産を任意売却する際に、その不動産の時価に相当する金額を根抵当権者である住宅金融債権管理機構に支払って、根抵当権等の放棄を受けた事案で、裁判官は、

  • 根抵当権放棄の対価として支払われた金員が、根抵当権者において相当と認めた金額であっても、根抵当権者が、当該金員支払は根抵当権設定者が根抵当権の目的である不動産を第三者に正規に売却することに伴うものと誤信しなければ、根抵当権の放棄に応ずることはなかったにもかかわらず、根抵当権設定者が、真実は自己の支配する会社への売却であることなどを秘し、根抵当権者を欺いて前記のように誤信させ、根抵当権を放棄させて、その抹消登記を了した場合には、刑法246条2項の詐欺罪が成立する

と判示し、刑法246条2項の詐欺罪の成立を認めました。

被害者を欺いて財物を交付させたが、相当対価以上の対価を支払っていることを理由に、詐欺罪の成立を否定した判例

 上記の詐欺罪の成立を認めた判例とは逆に、詐欺被害者に相当対価以上の対価を支払っていることを理由に、詐欺罪の成立を否定した以下の判例があります。

大審院判決(大正4年10月25日)

 この判例で、裁判官は、

  • 金員借用のため真物であると偽って提供した目的物が、債権額を超える価格を有し、債権の担保に十分な場合には、特に債権者が、その目的物の価格いかんにかかわらずそれが真物であるかどうかによって金員の貸否を決した事情の存しない限り、人を欺く行為があったとはいえず、詐欺罪を構成しない

としました。

東京高裁判決(昭和30年5月19日)

 この判例で、裁判官は、

  • 被告人が、Aから同人およびBのため、B所有の本件建物を担保に供して金策されたい旨の依頼を受けたのに乗じ、これの機に自用金員をも調達しようと考え、Cに対し、同建物を担保にして、その所有者Bに金6万円を貨与されたい旨申し向けたところ、Cは右担保物件を信頼してBに金6万円を貸渡す約定をなし、その利息として金6千円を控除した残金5万4000円を被告人に交付した
  • 被告人は、右金借申込当時、その金員借受および担保提供の代理行為をなす真意を有し、同時に右Cが同金員貸与に至ったのは、専ら同担保物件の価値に信頼したからであって、被告人とAやBらとの間の金策依頼の限度等はCにおいて関知するところでなかったこと明らかである
  • 従って、被告人には、Cに対する限り、別段欺罔行為があるわけでなく、Cにもまた右金員貸与につき、何ら錯誤があるものでないから、原判決において同金員授受に関し、被告人に詐欺所為ありと断じたのは事実を誤認したものである

と判示し、詐欺罪の成立を否定しました。

経済的損失がない事案で、詐欺罪の成立を否定した判例

最高裁判決(平成13年7月19日)

 工事の請負代金を不当に早く受領した事案ついて、裁判官は、

  • 請負人が、本来受領する権利を有する請負代金を、欺罔手段を用いて不当に早く受領した場合には、その代金金額について、刑法246条1項の詐欺罪が成立することがあるが、本来受領する権利を有する請負代金を不当に早く受領したことをもって詐欺罪が成立するというためには、欺罔手段を用いなかった場合に得られたであろう請負代金の支払とは社会通念上別個の支払に当たるといい得る程度の期間支払時期を早めたものであることを要すると解するのが相当である

と判示し、詐欺罪の成立を否定しました。

財物の交付自体が財産上の損害であるとする趣旨を示した判例

東京高裁判決(昭和32年8月21日)

 この判例で、裁判官は、

  • 真実の事実と虚偽の事実とを併用して相手方を信用させ、金員の交付を受けた場合には、その金額全部について詐欺罪が成立するものと解すべきである
  • 被告人が被害者から金員を借り受けるに当たり、担保として提供したもののうち、借地権は真実被告人が有するものであったとしても、他のK所有の家屋につき、Kがこれを担保として承諾していないのにかかわらず、あたかもその承諾あるものの如く装って担保に提供し、被害者をしてその旨誤信させて、金員の交付を受けた以上、その金員全部について詐欺罪が成立するものといわなければならない

と判示しました。

東京高裁判決(昭和51年10月5日)

 犯人が被害者を欺罔して交付を受けた財物につき、相当の対価を支払っている事案で、裁判官は、

  • 真実を告知するにおいては、たとえ相当対価を提供しても、相手方が財物を交付しないような場合に、あえて真実に反する事実を告知して相手方を錯誤におとしいれ財物の交付を受けた以上、詐欺罪は成立し、授受された対価が相当であることは、同罪の成立を妨げないものであると解すべきである

と判示し、詐欺罪の成立を認めました。

名古屋高裁判決(昭和59年7月3日)

 被告人が、代金を支払う能力も意志もないのに、自己名義の株式会社Aのクレジットカードを使用して、カードの加盟店から、腕時計などを購入した行為について、裁判官は、

  • 本件において、株式会社Aも各加盟店側も一致して、従来から、各加盟店においてクレジットカードを提示して商品の購入を希望する者が、その代金を支払う意思・能力がない場合にまで、各加盟店が取引を拒絶できないものではない
  • (被害店舗の従業員は、)被告人が商品の代金を、後日、株式会社Aに支払う意思も能力もないと分かっていたら、提示されたのが有効なカードであっても、被告人に商品を売り渡すようなことはしなかった旨供述している
  • 以上の事実関係に徴すると、株式会社Aから自己名義のクレジットカードの交付を受けていた被告人が、右カードを使用して加盟店から商品を購入するに際し、商品代金を会員規約に則って支払う意思も能力もないのに、これあるように装った点は、刑法246条1項にいう欺罔に該当するというべきである
  • 本件において、被欺罔者(被害店舗従業員)は、被告人の右のような欺罔行為のために、被告人において会員規約に則って商品代金を支払う意思・能力があると誤信し、その結果、各商品を売買名下に被告人に交付した状況が明認されるの為ならず、右欺罔行為による錯誤に基づいて商品を被告人に交付したこと自体、すでに商品代金を後日株式会社Aから受領しているという事実はなんら被告人に詐欺罪の成立を認める支障となるものではない
  • したがって、被告人の本件所為は、刑法246条1項の詐欺罪を構成するものと解するのが相当である

と判示しました。

東京高裁判決(昭和40年4月14日)

 詐欺犯人が交付を受けた財物の相当対価を提供した事案で、裁判官は、

  • 犯人が真実を告知するにおいては、たとえ相当対価を提供して相手方を錯誤におとしいれて、財物の交付を受けた以上は、詐欺罪を構成し、授受され対価が相当であることは詐欺罪の成立を妨げない

と判示し、詐欺罪の成立を認めました。

被害品が市場においていくらの代価で売買されているかは詐欺罪の成立に関係ないと判示した判例

大審院判決(昭和15年6月15日)

 この判例で、裁判官は、

  • 相手方を欺いて、機械代金名下に金員を詐取したことが明らかであれば、その機械が市場において、いくらの代価で売買されているかは、詐欺罪の成立に関係ないから、その事実を判示する必要はない

としました。

詐欺罪の成立には被害者の全体としての財産的価値が減少することは必要でない旨を判示した判例

東京高裁判決(昭和56年2月5日)

 この判例は、拾得した他人名義のクレジットカードを、加盟店に無効通知がされる前に不正に使用して、加盟店から商品を入手したり、宿泊飲食した行為について、加盟店に対する詐欺罪が成立するとしました。

 被告人の弁護人は、

  • 原判決は、被告人が拾得したクレジットカード(以下単にカードという)を利用して商品を入手したり、宿泊飲食した行為について詐欺罪の成立を認めたが、カード名義人がカードを喪失しても、クレジット会社に喪失届が出され、同社から右カードによる信用販売制度に加入している各加盟店(以下単に加盟店という)に対し、無効カード通知書が送付されるまでの間に、カードにより商品の販売等をした場合には、加盟店はクレジット会社の銀行口座から代金相当額の金員を自動的に入金してもらえることとなっているところ、本件カードの名義人であるAは、カードの喪失届を出していなかったのであるから、被告人に本件カードを使用されて商品の販売等をした加盟店は代金相当額の金員を取得することができ、そこに何ら財産上の損害は発生していないから、被告人の行為は、詐欺罪の成立要件を欠き、罪とならない

と主張しました。

 これに対し、裁判官は、

  • 犯人の詐欺行為により錯誤に陥り、その結果、犯人に物品等財物を交付・あるいは犯人を宿泊飲食させる等して、その代金相当額の財産上の利益を提供した場合には、それだけで詐欺罪は成立し、その結果、被害者の全体としての財産的価値が減少することは必要ではないから、被欺罔者と第三者との関係において、私法上あるいは当事者間の約定等にもとづき、その損害が補填されることがあっても、詐欺罪の成立は妨げられない
  • また、もともと財産の交付、財産上の利益の提供によるそれらの占有の喪失事態を損害と解し得るから、損害の補填があっても、財産上の損害が発生しなかったとはいい得ないことは明白である

と判示し、詐欺罪の成立に関し、被害者の全体としての財産的価値が減少することは必要ではないとした上で、詐欺罪の成立を認めました。

東京高裁判決(昭和60年5月9日)

 クレジットカードの不正利用による物品購入の事案で、裁判官は、

  • クレジットカードシステムを利用した代金後払いによる商品売買については、代金債務を負担するクレジット契約上の当事者が誰であるかは、クレジットカードを発布し、商品を売り渡すかどうかを判断するにあたって重要な要素といわなければならない
  • 被告人は、被害会社から電気製品等を割賦で購入し、これを質屋に入質して換金し、小遣いなどに充てていたため、購入代金がかさみ、これ以上被害会社からは自己名義で商品を割賦購入できない状態にあったこと、従って、被告人がAと偽っていることが判明すれば、被害会社の店員が被告人にクレジットカードを発布し、商品を月賦販売するはずもないことが認められることからしても、本件において、被告人がA本人であると偽って、その旨誤信させたこと自体が欺罔行為となるといわなければならない
  • 従って、原判決が、被告人の代金支払の意思及び能力の有無について認定判示することなく、被告人がA本人である偽った点を欺罔行為の内容とした件について詐欺罪の成立を認めたのは正当である
  • 詐欺罪は、法律行為の要素あるいは財産的処分行為をなすための判断の基礎となる事実について虚偽を表示し、これによって相手方を錯誤に陥らせ、相手方にその錯誤に基づく財産的処分行為をさせることによって成立し、必ずしも被害者の全体としての財産手kい価値が減少することは必要ではない

と判示し、詐欺罪の成立を認めました。

判例の傾向の分析

 以上の判例の傾向からすると、詐欺罪の成立に、全体財産の減少という意味での財産上の損害の発生を必要とするものではないとしていることは明らかです。

 ただ、詐欺罪の成立に財産上の損害の発生を必要としないと断定しているのではありません。

 欺かれなければ交付しないであろう財物を欺かれた結果交付したこと、言い換えると、財物の喪失を財産上の損害と見ているといえます。

次回記事に続く

 次回記事で続きを書きます。