刑法(横領罪)

横領罪(60) ~他罪との関係②「横領罪と文書偽造罪との関係」を判例で解説~

 前回に引き続き、横領罪(刑法252条)と他罪との関係について説明します。

  今回は、横領罪と

  • 文書偽造罪

との関係について説明します。

文書偽造罪との関係

 文書偽造罪と横領罪の関係について判示した判例として、以下のものがあります。

大審院判決(明治42年8月31日)

 この判例は、

  • 私文書変造及び同行使の各罪と横領罪との間に因果関係がある場合には、両罪は牽連犯となる

としました。

大審院判決(大正11年9月19日)

 この判例は、

  • 偽造文書の行使によって領得行為を行った場合には、偽造文書行使罪は、その行為が横領行為に先立つと同時であるとを問わず、牽連犯の関係となる

としました。

大審院判決(大正4年11月29日)

 この判例は、

  • 委託されていた白紙売渡証等を横領し、これを材料として文書を偽造した場合、証書類の横領は、文書偽造の通常の手段ではなく、また、文書偽造は横領の当然の結果でもないから、横領罪と文書偽造罪とは牽連犯ではなく併合罪とすべきである

としました。

大審院判決(昭和7年3月22日)、大審院判決(大正11年9月19日)

 この判例は、

  • 金員着服横領後、犯跡隠蔽のため文書を偽造して行使した場合も、文書偽造行使と横領とは通常手段結果の関係を生じるものではなく、牽連犯ではない

としました。

大審院判決(昭和7年4月11日)

 この判例は、

  • 他人所有の株券占有する者が、自己の債務担保に供するため、その株券の名義書換えについて、委託者の委任状及び株式処分承諾書を偽造し、その文書と共に株券を担保として債権者に交付したときは、偽造の段階から株券の不法領得の意思を発現したものであって、株券の横領と両文書の偽造行使とは観念的競合となる

としました。

東京高裁判決(昭和29年3月29日)

 この判例は、

としました。

最高裁決定(平成21年3月26日)

 この判例は、

としました。

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