刑法(詐欺罪)

詐欺罪① ~「詐欺罪とは?」「恐喝罪、窃盗罪、強盗罪との区別」「詐欺罪の害悪は大きい」「保護法益」を解説~

詐欺罪とは?

 詐欺罪(刑法246条)は、

人を欺いて

・財物を交付させる

・財産上不法の利益を得る

・財産上の不法の利益を他人に得させる

行為を内容とする犯罪です。

恐喝罪との区別

 詐欺罪は、人を欺くことを手段とし、恐喝罪は、恐喝を手段とする点で、詐欺罪と恐喝罪は区別されます。

窃盗罪、強盗罪との区別

 詐欺罪は、被害者の瑕疵ある意思に基づいて、財物を交付させ、又は財産上の利益を取得する犯罪です。

 つまり、だまされているとはいえ、被害者が自らの意思に基づき、犯人に対し、財物や財産上の利益を提供する態様になります。

 この点から、詐欺罪は、占有者の意思に基づかないで財物を取得する窃盗罪強盗罪とは区別されます。

 また、窃盗罪・強盗罪が財物罪(たとえば、現金を奪う)であるのに対し、詐欺罪は、財物罪であるとともに利得罪(たとえば、人をだましてサービスの提供を受ける)でもある点にも違いがあります。

詐欺罪の害悪は大きい

 詐欺罪は、刑事学的には、利欲犯に属します。

 また、詐欺罪は、知能犯の典型的なものとされます。

 窃盗罪、強盗罪といった盗罪が、素朴的な犯罪であるのに対し、詐欺罪は、より洗練された領得罪であり、それは経済取引の中に組み込まれることによって、盗罪よりもはるかに大きな害悪をもたらします。

 たとえば、窃盗罪、強盗罪で領得できる財物は、一般的には、コンビニのパンなどの数百円のものから、頑張って強盗をしても数十万から数百万円の現金が得られる程度です。

 しかし、詐欺罪は、その知能犯の性格から、窃盗罪や強盗罪と比べれば、比較的容易に、数百万円から数千万円、場合によっては数億円の現金を領得することができます(振り込め詐欺、投資詐欺など)。

 このように詐欺罪は、窃盗罪、強盗罪といった盗罪よりも、被害額が大きなものになりやすいため、厳しく取り締まって処罰する必要があるのです。

 詐欺罪において、被害額が比較的大きくならない素朴な事案(被害額:数百円から数万円程度)として、

  • 無銭飲食
  • 無賃乗車

が挙げられます。

 被害額が大きくなる事案(被害額:数十万円から数億円)として、

  • クレジットカードの不正使用による詐欺(他人のクレジットカードで買い物をする)
  • 特殊詐欺(振り込め詐欺など)
  • 保険金詐欺(虚偽の事故や病気を装い、保険会社から保険金を詐取する)
  • 投資詐欺
  • 取込詐欺
  • ペーパー商法による詐欺

が挙げられます。

保護法益

 詐欺罪の保護法益

  • 個人の財産
  • 財産法的取引における真実と信義誠実の維持

です。

 この点を判示した判例があります。

最高裁判決(昭和25年7月4日)

 この判例で、裁判官は、

  • 詐欺罪の如く他人の財産権の侵害を本質とする犯罪が処罰されたのは、単に被害者の財産権の保護のみにあるのではなく、かかる違法な手段による行為は、社会の秩序をみだす危険があるからである
  • そして、社会秩序をみだす点においては、所謂闇取引の際に行われた欺罔手段でも通常の取引の場合と何等異なるところはない
  • 従って、闇取引にして経済統制法規によって処罰される行為であるとしても、相手方を欺罔する方法即ち社会秩序をみだすような手段をもって、相手方の占有する財物を交付せしめて財産権を侵害した以上、被告人の行為が刑法の適用をまぬかるべき理由はない

と判示しました。

 この判例は、詐欺罪の不法内容は、個人の財産権の侵害という法益侵害だけでなく、その侵害の態様(取引上の信義誠実違反)によっても規定されること判示した判例として、価値を有しています。

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