刑事訴訟法(公判)

被害者参加制度③~「被害者参加人への付添い、遮へいの措置」「被害者参加人に対する旅費等の支給制度」を説明

 前回の記事の続きです。

 前回の記事では、

  • 被害者参加制度で被害者参加人ができること(公判期日への出席、検察官に対する意見陳述、証人尋問、被告人質問、弁論としての意見陳述)

を説明しました。

 今回の記事では、被害者参加制度において被害者をサポートする措置である

  1. 被害者への付添い、遮へいの措置
  2. 被害者参加人に対する旅費等の支給制度

を説明します。

① 被害者参加人への付添い、遮へいの措置

被害者参加人への付添い

 裁判所は、被害者参加人が公判期日又は公判準備に出席する場合において、

被害者参加人が著しく不安又は緊張を覚えるおそれがあると認めるとき

は、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴き、

被害者参加人の不安又は緊張を緩和するのに適当であり、かつ、裁判官若しくは訴訟関係人の尋問等を妨げるおそれ等がない者

を、被害者参加人に付き添わせることができます(刑訴法316条の39第1項)。

被害者参加人と被告人との間の遮へい措置

 裁判所は、被害者参加人が公判期日又は公判準備に出席する場合において、

被害者参加人が被告人の面前において在席、尋問、質問又は陳述をするときは圧迫を受け精神の平穏を著しく害されるおそれがあると認める場合であって、相当と認めるとき

は、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴いて、弁護人が出頭している場合に限り、

被告人とその被害者参加人との間で、被告人から被害者参加人の状態を認識することができないようにするための措置

を採ることができます(刑訴法316条の39第4項)。

 具体的には、被害者参加人と被告人との間にパーテーションなどを立て、被告人が被害者参加人の顔や姿を見ることをできなくする措置が採られます。

被害者参加人と傍聴人との間の遮へい措置

 また、犯罪の性質その他の事情を考慮し、相当と認めるときは、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴き、

公判廷にいる裁判の傍聴人と被害者参加人との間で、相互に相手の状態を認識することができないようにするための措置

を採ることができます(刑訴法316条の39第5項)。

 これも、被害者参加人と被告人との間の遮へい措置の場合と同じく、被害者参加人と傍聴人との間にパーテーションなどを立て、被告人が被害者参加人の顔や姿を見ることをできなくする措置が採られます。

② 被害者参加人に対する旅費等の支給制度

 犯罪被害者は、犯罪被害に遭うことによって、肉体的・精神的な傷を負い、仕事を失うなど経済的な被害に苦しむ場合もあります。

 そこで、そのような被害に苦しむ被害者参加人に対し、公判期日又は公判準備に出席することによる経済的負担を軽減し、訴訟活動を行うことができるようにするため、

被害者参加人に対する旅費等の支給制度

が整備されています。

 被害者参加人に対する旅費等の支給制度は、被害者参加人が、公判期日又は公判準備に出席した場合に、被害者参加人に対し、

  • 旅費
  • 日当
  • 宿泊料

を支給するものです(犯罪被害者等保護法5条1項)。

 被害者参加人に対する旅費等の支給制度の「旅費等」とは、旅費、日当、宿泊料を指します。

 被害者参加人に支給される旅費、日当、宿泊料を「被害者参加旅費」といいます。

旅費、日当、宿泊料の支給手続の流れ

 具体的な旅費等の支給手続は、以下の①~③の流れになります。

① 公判期日等に出席した被害者参加人は、所定の請求書に被害者参加旅費等の算定に必要な資料を添えて、これを裁判所を経由して、日本司法支援センター(法テラス)に提出する。

② 裁判所は、被害者参加人が公判期日又は公判準備に出席したことを証明する書面を添えて法テラスに送付する。

③ 法テラスが、被害者参加人に対し、被害者参加旅費(旅費、日当、宿泊料)を支払う。

法廷の傍聴席にいただけの被害者参加人に対しては、旅費、日当、宿泊料は支給されない

 被害者参加旅費が支払われるのは、公判期日又は公判準備に出席した被害者参加人です。

 なので、被害者参加人であっても、法廷内(検察官の隣)に着席することなく、

傍聴席で傍聴しただけの被害者参加人

に対しては、被害者参加旅費は支給されません。

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