刑事訴訟法(公判)

裁判②~「終局裁判、終局前の裁判、終局後の裁判」「実体裁判、形式裁判」を説明

 前回の記事の続きです。

 前回の記事では、裁判所の種類(判決、決定、命令)を説明しました。

 今回の記事では、裁判の時期による分類(終局裁判、終局前の裁判、終局後の裁判)を説明します。

「終局裁判」、「終局前の裁判」、「終局後の裁判」とは?

 刑事訴訟法などの訴訟法上において「裁判」とは、

裁判所又は裁判長・裁判官の意思表示的な訴訟行為

をいいます。

 一般的には、刑事事件の公判手続などの訴訟手続の全体を指して「裁判」ということが多いですが、訴訟法上は、訴訟手続の中の、裁判所又は判長・裁判官の意思表示的訴訟行為だけを「裁判」といいます。

 裁判を時期によって分類すると、

  1. 終局裁判
  2. 終局前の裁判
  3. 終局後の裁判

に分けることができます。

 以下でそれぞれについて説明します。

① 終局裁判とは?実体裁判、形式裁判とは?

 終局裁判は、

その裁判所における訴訟手続を終結させる裁判

をいいます。

 終局裁判には、

  • 実体裁判の場合
  • 形式裁判の場合

の2つがあります。

 実体裁判は、

事件の実体について審理したことについて、有罪・無罪を判断する裁判

です。

 実体裁判の具体例は、

です。

 実体裁判(有罪判決、無罪判決)は全て終局裁判であり、「判決」でなされます。

 形式裁判は、

実体裁判以外の裁判、つまり、事件の実体について判断することなく手続的な理由で訴訟を打ち切る裁判

をいいます。

 形式裁判の具体例は、

であり、この2つは「判決」でなされます。

 ほかに形式裁判の具体例として、

 公訴棄却

があり、「判決」でなされる場合(刑訴法338条)と「決定」でなされる場合(刑訴法339条)とがあります。

※ 「判決」、「決定」、「命令」の違いの説明は前の記事参照

② 終局前の裁判とは?

 終局前の裁判は、

終局裁判に至る過程で生じた手続上の問題に関する裁判

をいいます。

 終局前の裁判は、「中間裁判」ともいわれます。

 終局前の裁判は、全て形式裁判であり、様々なものがあり、

のように「命令」か「決定」でなされるものが該当します。

③ 終局後の裁判とは?

 終局後の裁判は、

終局裁判後に生じた問題に関する裁判

をいいます。

 終局後の裁判は、全て形式裁判です。

 例えば、

  • 訴訟費用執行免除の申立てに対する決定
  • 裁判執行に関する異議申立て対する決定

が該当します(刑訴法500条502条503条504条)。

次回の記事に続く

 次回の記事では、

  • 裁判の成立後は、裁判の内容を取消し・変更することができなくなる
  • 裁判の内容の訂正(更正決定)

を説明します。

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